発達障害支援団体「こころぴあ ビレッジ」は、主に大阪で発達支援をしております、自助グループです。 さて、世間ではここ数年、発達障害への注目度が高まり、特別支援教育の制度化や、発達障害支援法の制定で、徐々にではありますが支援体制が作られつつあります。しかし、専門医の不足や支援ノウハウの未確立など、量的にも質的にもその支援は十分であるとはいえない状況にあるようです。中でも、大人の発達障害への支援は、その当事者に対しても、家族に対しても、絶対的に不足している状況に変わりはありません。診断を受ける事すら出来ずに、支援団体にたどり着くことすら出来ずに・・・・、いえ、もっと言えば、この障害の事実にすらたどり着いていない当事者や家族が、世の中にはまだまだいらっしゃるのが、実情ではないでしょうか。 そんな中、当会は、発達障害の家族を中心に立ち上げた会です。世話役などと言っても、恥ずかしながら迷える家族の「ひとり」な訳です。しかし、この数年の体験の中で、私には、その「ひとり」が「ひとり」で終わることなく、同じ境遇の者同志で集まることで、何かが生まれるであろうと、確信するものがあります。様々な困難の中で、この団体の立ち上げを決めた動機はそこにあります。 さて、この障害は「見た目には分からず、ともすれば、健常者にしか見えない」という稀有な障害であるが故に、当事者にも家族にも、「誰も理解してくれない」という悶々とした思いが、いつも胸のうちにあるのではないでしょうか。何か、どこに吐き出して良いものかも苦悶してしまうような思いが、この障害に関わるものには存在するのだと思うのです。 また、この障害の特性は、ひとつ間違えば、家族でさえも互いにつらい関わりとなったり、その繋がりを危うくさせるという、宿命的な影を持ち合わせています。人の心の奥底に、独特の影を落とすのが、この障害のもつ厳しさなのだと感じるのです。 合わせてこの障害は「当事者にしてみれば、周囲の理解と支援なしには、困難は克服しづらく、本人の情緒安定も得にくい」というのが特徴です。ならば、本来なら周囲に障害を告知し、当人の生きづらさの解消をしていきたいわけです。しかし一方、世間では一部の事件報道などで障害名が取り上げられたばかりに、障害の実像が正しく理解されているとはいえない現状で、おいそれとカミングアウトも出来ないという、矛盾が存在しています。 ニートやひきこもり、不登校の問題など、この障害の抱える困難は決して小さいとはいえないのに、この現状を打破していく為に、どこへ向かっていけばよいのかすら、中々見定めにくい現状があると、私どもは思うのです。そんな中で、当事者も家族も、何ともいえない思いを抱えて、日々を生き抜いているというのが現状ではないかと考えるのです。 私ども「こころぴあビレッジ」は、そんな発達障害の当事者や家族の方々の思いを、共に語り、共に聴き、共に受け止め、共に共有する。そんな場をご提供し、参加される皆様には気軽に立ち寄っていただいて、ほんの少しの時間でも日常を離れ、肩の荷を下ろしていただく場であって欲しいと願いつつ活動してまいります。発達障害に関わる多くの方々が、こころを通わせる仲間(peer)に出会う場として、村(Village)の陽だまりのようであれたなら、幸いと存じます。 微力な私どもではありますが、参加者の皆様と、そういった場所を共に作り上げていけたらと思います。ご参加をスタッフ一同お待ちしております。 こころぴあ ビレッジ 世話役 新田かなと |